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「やさしい日本語」の普及と課題

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 「やさしい日本語」をご存知でしょうか。出入国在留管理庁・文化庁(2020)「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」によれば、「やさしい日本語」は、1995年の阪神・淡路大震災での外国人住民への情報伝達上の課題からの反省で誕生したとなっています。外国人住民にとって、一般の災害ニュースは文字にしても話し言葉にしても非常に難しく、理解できないまま被災が進むという問題が明らかになりました。例えばこんな感じです。

一般の日本語

「ただちに海岸線より高台に避難してください」

「やさしい日本語」への書き換え例

「いますぐに、海の近くから、ビルの上や山の上などの高いところに、にげてください」

 このように緊急時・災害時の日本語伝達という面で発達してきた「やさしい日本語」ですが、現在では日常の場面にも拡大しています。特に役所が使う日本語は日本人にとってもわかりやすいとはとても言えません。それを受けて現在では神戸市など多くの自治体で、主に文書でやさしい日本語での発信を進めています。

 一方、この「やさしい日本語」には課題もあります。ひとつは、やさしくすることで、表現がどうしても長くなってしまう、ということです。そのために、もともとある情報のすべてを伝えるのが難しくなることが多くなります。また、災害などでは今すぐ伝えるべき情報と、あとで伝えればいい情報の選択が非常に重要です。そのために、多くの場合、「やさしい日本語」では情報の脱落が起こります。

 また、「やさしい日本語」の行き過ぎた規範化にも注意しなければなりません。受け取る外国人住民にとって、自分がわかりやすいと思える日本語のレベルは異なるはずであり、自分の日本語レベルより極端に低いレベルの言葉で話されても、却ってあいまいすぎる場合もあります。また中華圏出身住民にひらがなばかりでは、わかりにくいとする意見も多くあります。大切なのは、コミュニケーション相手をよく観察し、適切なレベルやことばを選ぶことではないでしょうか。それには練習や研修も必要かと思います。

 ご興味ある方は、お問い合わせください。